強くなるための世界陸上の見方
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投稿者:荒川優元100m選手:スプリントコーチ
強くなるための世界陸上の見方
とうとう世界陸上が開幕しましたね!
予選から高瀬選手や福島選手、松下選手などを中心に、日本の各選手もすばらしいタイムで走っています。
一方で、これまであまり名前の聞かなかった国の選手が力をつけてきたりと、かなりレベルは上がっているようです。
さてそんな世界陸上、ただテレビを見ているだけでもとても楽しいのですが、今回はより深く味わうための「強くなるための世界陸上の見方」について書こうと思います。
【世界陸上は学びの宝庫】
まずみなさんは世界陸上をどんな観点で見ているでしょうか。
タイム?フォーム?
レース中はすごい選手を目で追っているだけになっていませんか?
好きな選手を応援する、すごい選手を見てモチベーションを高めるのも大事ですが、せっかくの大イベントなので自分がより強くなるためのヒントを探してみましょう。
そのための見方を3つ例示してみます。
【①アップの動きの質から学ぶ】
ときどきアップ中の選手の動きが映ることがあります。
ぜひ映っている各選手の動きに注目してみてください。
トップアスリートのアップは体温を上げたりケガのリスクを下げるためだけにやっているわけではありません。
動きづくりをしながら、一つ一つチェックをしています。
もしかしたら、私たちが行っているものと同じ動きがあるかもしれません。
その際は、しっかりと動きの質に注目してみてください。
何のために行っているか、どこに意識があるのか、を考えながら見てみると、その動きの質の高さに気づくはずです。
今回の会場は非常に暑く、各選手は疲れがたまらないようアップを手短にすませているようです。
だからこそなおさら一つ一つの動きの質を意識してシンプルにまとめてきているはずです。
アップの動きの質に注目することで、強くなるためのヒントが得られます。
【②スタート前の流しから学ぶ】
100m~400mHまでの短距離種目では、スタート前にスターティングブロックを合わせ、スタートの練習を行うことが一般的です。
その動きに着目してみてください。
このようなスタートの練習では、自分のタイミングで求める動きをイメージしながら出ることができます。
つまり、各選手が最も求める動きは、このスタートの練習時に確実に出てきます。
レースとなると、ピストルに合わせて出たり、周りの選手との駆け引きなどもあり、必ずしも最高の動きができるとは限りませんし、予選など少し控えめに出ることであえて最高の動きをしないことがあります。
その選手がどういうイメージをもっているのか、これをスタートの練習で観察することで、強くなるためのヒントが得られます。
※ちなみにアサファ・パウエル選手のスタート練習など事前に出回っているものもあるので、そこでイメージを得ておくとさらに深みのある見方ができます。
http://sports-crowd.net/detail.php?no=1571
【③自分にフィットする選手を追って強くなる】
速い選手を見たくなるのは陸上選手の性かもしれません。
しかし、その気持ちをぐっと我慢して、せめてリプレイなどでは自分にフィットする選手を追ってみましょう。
例えば、多くの人はボルト選手がいればボルト選手を追ってしまうと思いますが、日本人がボルト選手の走り方を真似するとおかしなことになる場合が多いです。
実はその組では最下位であっても、自分の目指すべきモデルがいるかもしれません。
世界陸上に出る選手は全員がとても素晴らしいものを持っています。
だからこそ、自分のイメージモデルとなる選手を探して、強くなるために必要なことを学んでみましょう。
ちなみに今大会は中国選手の調子が非常に良さそうですが、日本人には真似しやすいよいモデルになりうると思います。
このように世界陸上では、少し見方を変えるだけで競技者にとってさらに価値のあるものになってきます。
今日は後ほど男子100mの準決勝と決勝があります。
ぜひ、「観戦者」ではなく「競技者」としてこの世紀の瞬間を見ていきましょう!
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筆者:
荒川優(あらかわゆう)
☆大学陸上コーチ(100m:10秒56)
筑波大学出身。大学コーチとして就任後、1年で全員の自己ベストを更新。
オリンピック選手や代表レベルの選手からも高い支持を受けている。
➣2010ニュージーランド・オタゴオープン 準優勝
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投稿者:荒川優元100m選手:スプリントコーチ
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