【最大スピードを高めるための練習】加速走の方法とポイント
- Tweet Follow @Sports_Crowd_
投稿者:荒川優元100m選手:スプリントコーチ
【最大スピードを高めるための練習】加速走の方法とポイント
走りの中でトップ(最大)スピードは非常に重要です。
研究からトップスピードが、タイムに最も影響を与えることが指摘されています。
トップスピードとは、その人の最も速い瞬間の速度で、100mでは50m前後に出現するとされています。
速い選手ほどその出現位置は後半になり、例えばウサインボルト選手は60m前後でトップスピードとなり、その時には時速45キロ近くも出ていると推測されています。
今回はそのトップスピードを高めるための練習として「加速走」を紹介します。
もちろん同じ加速走でもチームによっては異なる目的で行うこともあると思ので、私が行う加速走のケースとして参考にしていただければと思います。
【方法】
30m+30m(30mを「加速区間」とし、30m~60mの「最大速度区間」で最も速度が高まるように走る)
この時30m地点に人を配置し、30mを通過する瞬間に合図してもらいます。タイム測定者は、そこから30mの最大速度区間タイムを測定します。
30mをこのタイムで割ることで、1秒当たりの速度が導き出されます。
(例:3秒00の場合、10.00m/秒)
【ポイント】
トップスピードを妨げる要因として、
①加速がうまくできていない(力みすぎ、急ぎすぎ)
②トップスピード時にロスが起こる(接地や体の使い方、タイミングが崩れる)
の2つが考えられます。
①に関しては、最初の30mをフルに使って最大速度区間でトップスピードが出るよう焦らずに加速しましょう。
スムーズな加速につなげるために、動画のようにスキップやステップから入ることも可能です。
よく10m+30mの加速走を見かけますが、10mでスピードを上げようと力むことで、スピードが上がり切っていない選手を見かけるので、30m加速区間を設けることをおすすめします。
②に関しては、トップスピードになったら「それ以上スピードを上げようと思わない」ことが重要です。
トップスピードになると、それ以上どうあがいてもスピードは上がらないばかりか、その力みが減速につながってしまいます。
「スピードを維持する」意識を持ちましょう。
【タイムの参考に】
100m選手であれば、30m+30mと100mのタイムの関係は経験上以下の通りです。
3.5=12秒5
3.0=11秒3
2.8=10秒5
もちろんスタートのうまさや、タイプによっても変わりますが、目標にしてみてください。
先日の日本選手権ではサニブラウン選手が優勝しました。
彼の最大速度は、11.5m/秒を越えていたとのことで他選手を圧倒していました。
日々の練習ではどうしてもスタートなどの要素練習をやりがちですが、今一度「自分の最も速い瞬間」に目を向けてみると、レベルアップのきっかけがつかめるかもしれませんよ!
この動画は「中大陸上部(短・跳・投ブロック)」をシェアさせていただいております。
***********************************************
筆者:
荒川優(あらかわゆう)
☆スプリントコーチ(100m:10秒5)
➣2010ニュージーランド・オタゴオープン 準優勝
筑波大学出身。ランニングコネクション代表。スプリントコーチとして大学や子供たちの指導、メディアなどで活動。
オリンピック選手や格闘技世界チャンピオン、Jリーガーなど、種目を超えてトップ選手のコーチも担っている。
出演:NHK「テレビスポーツ教室」など多数。
***********************************************
投稿者:荒川優元100m選手:スプリントコーチ
- Tweet Follow @Sports_Crowd_
【新着】関連記事
この記事を見た人はこんな記事も見てます。
-
【膝や腰の怪我の予防やパフォーマンス向上に!】大腿筋膜張筋”TFL”のストレッチ
今日は『大腿筋膜張筋』の仕組みとケアについてお話ししたい...
2019年01月28日
-
【スプリント強化に】上り坂でのスピードスキップトレーニング
少し暗くて申し訳ありませんが、坂でスピードスキップを行う...
2017年02月17日
-
水中トレッドミル!?
大迫傑選手がチームに加入したこで話題になった「ナイキ ...
2015年06月08日
-
スティックマークで刻んでみよう!マーク走
今回はスティック型のマークを使ったスプリント練習です。 ...
2016年06月14日
-
リオへ向けて!ジーターもトレーニングを公開!
カーメリタ・ジーターはアメリカの陸上短距離代表で100m...
2016年04月13日
-
反発を利用してより高く!リバウンドジャンプBOX
今回はBOXを利用したジャンプトレーニング。リバウンドジ...
2016年03月13日
-
足の回転を矯正しよう!フレキハードル走
フレキハードルを使って足の回転の矯正を行いましょう!フレ...
2015年12月15日
-
地味なトレーニングこそ王道!
-
コーナーマーク走
-
今年こそ9秒台!?桐生祥秀の走りの変化とは!
-
スプリント ピッチトレーニング
-
冬季トレーニング〜ハードル後転倒立〜
-
ガトリンのスプリントトレーニング
-
【驚異のピッチ】オリンピアン土井杏南選手が行う高速ステップトレーニング
-
ボルトの補強を覗く
-
【筋トレ後に最適!】筋肉に刺激を与えるフィジカルステップ
-
【世界最強の軌跡】引退を発表したキングオブアスリートの練習[アシュトン・イートン]
-
【世界最速の男】ボルト選手が指導する【5つの練習法】
-
冬季練習期間にしておきたい!坂スキップ〜スプリント
-
より強い軸をつくる、片足ハードルジャンプ
-
【走り幅跳び】正しい角度と動きを身につける練習方法
-
【短距離選手向け】下り坂のトレーニングのポイントと効果
-
強豪校のコアトレーニング2
Category New/カテゴリー新着情報
- 【たった3分で追い込める!】最強腹筋トレーニングメニュー「全方向から鍛えられる計6種類の腹筋サーキット...詳細【1日3分】室内でできる全身トレーニング(中級編)アスリートが考えた3分『全身トレーニング』 ...詳細【練習メニュー】下り坂でスピードトレーニング(4種)自主練や部活で使えるシリーズ第三弾『下り坂』の...詳細【練習メニュー】上り坂でスピードトレーニング(6種)自主練や部活で使えるシリーズ第二弾『上り坂』の...詳細陸上競技
- 【練習メニュー】下り坂でスピードトレーニング(4種)自主練や部活で使えるシリーズ第三弾『下り坂』の...詳細【練習メニュー】上り坂でスピードトレーニング(6種)自主練や部活で使えるシリーズ第二弾『上り坂』の...詳細【恐怖を超えた究極のスタート】コールマンから学ぶスタートの極意クリスチャン・コールマン(Christian ...詳細【長距離ランナー必見!】ランナーにオススメのトレーニング集オレゴンプロジェクト所属のゲーレン・ラップ選手...詳細ケガ・ストレッチ
- 下向肘上げ 改善エクササイズ【フィジカルチェック用】「フィジカルチェック項目:下向肘上げ」の点数が...詳細下向胸上げ 改善エクササイズ②【ケガ予防フィジカルチェック用】「フィジカルチェック項目:下向胸上げ」の点数が...詳細下向胸上げ 改善エクササイズ①【フィジカルチェック用】「フィジカルチェック項目:下向胸上げ」の点数が...詳細【梅雨の季節の体調管理】アスリートに必要な知識蒸し暑く過ごしづらい季節がやってきました。そう...詳細サッカー
- エムバぺ(フランス代表)はなぜあんなに速いのか!?[陸上コーチによる解説]先日4年に1度のワールドカップが行われ、日本代...詳細【W杯でも活躍!】サッカーイングランド代表が行なった〇〇を使ったトレーニング2018年ワールドカップ盛り上がりましたね! ...詳細【W杯でも大活躍】レアル・マドリードのトレーニング欧州チャンピオンズリーグ3連覇、今回のW杯でも...詳細【世界トップの瞬発力!】メッシ選手のアジリティトレーニング【間も無くW杯開幕!】5度のバロンドール受賞、5回のチャンピオンズリ...詳細栄養・食事
- 【瞬発的エネルギー!】クレアチン摂取タイミングのポイントと注意点クレアチンはアミノ酸の一種で、筋肉内のエネルギ...詳細【骨強化に】身長を伸ばす為に必要な栄養素【Jr世代は特に大切!】色々な競技の上で、身長が高いということが有利に...詳細【金メダリストの朝ご飯にも!?】正月によく食べるお餅の栄養&効能お正月はおせち料理やお雑煮など、お餅を食す機会...詳細【身体の調子を整える】サプリメントアプローチ「ZMA」普段の食事から摂取するのが難しい栄養素がある場...詳細野球