ガトリン選手に学ぶ、爆発的加速を生み出す膝の使い方!
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2018年06月22日
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投稿者:荒川優元100m選手:スプリントコーチ
ガトリン選手に学ぶ、爆発的加速を生み出す膝の使い方!
今回は加速力につながる膝の使い方を見ていきます。
陸上関係者の方はもちろんのことダッシュ力を高めたいと考えている陸上以外の方にも参考にしてほしい知識です。
さて、昨年の北京世界陸上において、前評判でボルトをおさえてスプリント種目の金メダルに最も近いといわれていたのがジャスティン・ガトリン(33歳,アメリカ)です。
昨年は前半シーズンの大会で、
100m:9秒74
200m:19秒57
というとんでもない自己ベストを出し、一気に注目の的となりました。
彼はレース前にあるモーションをすることで有名ですが、あれは自分を檻の中の猛獣に例えて、きついトレーニングに耐えてきた自分を檻から解放するというような意味が込められているようです。
今回はガトリン選手のスタートからのダッシュを見ていきましょう。
スタートの練習風景が映った貴重な動画です。
≪実はストライド走法!?≫
ガトリン選手の走りを想像していただきたいのですが、その特徴として地面を擦るようにして走ることです。
実際、他選手と比べても足があまり上がりません。
では、足を上げない分速く回しているのかといえば、答えはNOです。
ある研究ではガトリン選手は平均ストライド2.40m、ピッチは4.26Hzと報告されています。
ピッチ=1秒間に足が接地する回数で表される歩数頻度(stride frequency)なので、1秒間に4.26回転していることになります。
日本のトップスプリンターが4.7前後であることを考えると、ガトリン選手のピッチは非常に小さく、典型的なストライド走法であるといえます。
足をあまり上げない、つまり重力による足をおろす力を使わずに大きなストライドを出せるのが、ガトリン選手最大の特徴だといえます。
なぜこんなことが可能なのでしょうか?
≪ポイントは膝の角度とその持続時間≫
ここからは私の主観も入ってくるのでご承知おきください。
一つのポイントは、膝を曲げた状態で強い力を発揮できることだと思います。
速い選手は、加速中の地面を押す際に膝を曲げた状態のまま地面から足が離れます。
逆に地面を押すときに膝が伸びきってしまう人は力のメリハリができていないことが多くケガにもつながってしまいます。
ガトリン選手は走っているときに腰の位置が全く変わりません。
これは膝の曲げ伸ばしがなく、上下運動が起こっていないことを意味します。
「体験してみよう」
みなさんその場で片足立ちになってみてください。
そして支持脚の膝を少し曲げましょう。
その状態から地面を押して前に進んでみてください。
このとき膝の角度は変えないでくださいね。
できたでしょうか?
このように膝の曲げ伸ばしを使わずに地面に力を加えるのは意外に難しいんです。
これによってガトリン選手は力のロスを防いでいると考えます。
もう一つは、その持続時間です。
私自身ある程度までなら膝の角度維持のままでスピードを高めることができますが、スピードが上がってくるとどうしてもこらえられなくなってきます。
スピードが上がるにつれて接地時間がどんどん短くなるので、体をコントロールできなくなってしまうんです。
このとき、臀部(お尻)はもちろんのこと、腹筋周辺にもものすごい負荷がかかります。
普通は加速中に耐えられず体が起きてしまいます。
一方でガトリン選手はスタートからの動きと前傾姿勢を維持したままでそのまま中間疾走につなげています。
このように膝の角度を維持したままで長い時間維持できること、またそれを可能にした高いスピードにも対応できる体の強さを持っていることがガトリン選手の強みなのではないかと思います。
膝の角度に関しては、練習しないとなかなか身につきません。
できるようになりたい方は、ウエイトトレーニングやタイヤ引き、坂ダッシュの時に、膝の角度を固定して伸ばさないように意識して行ってみてください。
この動画は「SPRINT NL」様の作品です。
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筆者:
荒川優(あらかわゆう)
☆大学陸上コーチ(100m:10秒5)
筑波大学出身。大学コーチとして就任後、1年で全員の自己ベストを更新。
オリンピック選手や代表レベルの選手からも高い支持を受けている。
➣2010ニュージーランド・オタゴオープン 準優勝
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投稿者:荒川優元100m選手:スプリントコーチ
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