【速いスタート習得のために】スタートで前傾(体を前に倒す)はなぜ大事なのか?
- Tweet Follow @Sports_Crowd_
投稿者:荒川優元100m選手:スプリントコーチ

【速いスタート習得のために】スタートで前傾(体を前に倒す)はなぜ大事なのか?
学校ではしばしば、スタートは下を見て走るのが大事と習います。
陸上部の人であれば、スタートからしばらくは体を起こさないように習うことでしょう。
これらは体の前傾(骨盤の前傾と言われることも)が、スタートの速度を高めることと楽に加速することに有効だという前提からきています。
でもこれは本当なのでしょうか?
スタートや出だしの速さはどの競技にも必要な要素。
だからこそ、この理解が深まればもっといいスタートが切れるかもしれませんよ!
今回は「力の大きさ」に着目してみましょう。
そもそもスタートで体が前に進むのは地面を後ろに押しているからです。
真下に押しても前から押しても前に進むことはできません。
単純化すると、“地面を後ろに押す力が強ければ強いほど、一歩で大きく前に進みます”。
では体験してみましょう。
壁もしくは人の前に立ちます。
①自分と壁もしくはパートナーとの距離を30㎝にして立ちましょう。
その状態で思いっきり前のターゲットを押してみましょう。
パートナーの場合は姿勢をきめて耐えるようにしてください。
②今度は1mの距離で同様のことを行ってみましょう。
③次は1m~2mの中で、できるだけ離れて一番力が入る場所で行ってみましょう。
この①~③で一番強く押せたのはどれだったでしょうか?
きっと①が一番弱く、③が一番強く押せたのではないでしょうか?
地面を強く押せれば押せるほど、前に大きな力が加わります。
この中だと③が一番地面を強く押せたことになりますね!
ではこの③のときの姿勢を思い出してみましょう。
押すターゲットとの距離があるほど、力がうまく加えられた時ほど、体が前に倒れていませんでしたか?
これがスタートで前傾が大事だといわれる一つの理由です。
つまり“体を前に倒したほうが地面を強く押せる”ということですね。
ということは、
ただ姿勢だけを真似するのではなく、前のターゲットをしっかり押せる姿勢をとることが大事になります。
スタートが苦手だった方は、このように形だけの前傾で、全く地面を押せていなかったことに原因があるのかもしれません。
もちろんスタートではもっとたくさんの要素がかかわってきますし、実際走るとなれば押すときと全く同じ姿勢では保てなかったりします。
ですが今回書いたことで少しでもスタートが改善される選手がでてくれば嬉しいなと思います。
***********************************************
筆者:
荒川優(あらかわゆう)
☆スプリントコーチ(100m:10秒5)
➣2010ニュージーランド・オタゴオープン 準優勝
筑波大学出身。スプリントコーチとして大学や子供たちの指導、メディアなどで活動。
オリンピック選手や格闘技世界チャンピオン、Jリーガーなど、種目を超えてトップ選手のコーチも担っている。
出演:NHK「テレビスポーツ教室」など多数。
***********************************************
投稿者:荒川優元100m選手:スプリントコーチ
- Tweet Follow @Sports_Crowd_
【新着】関連記事
この記事を見た人はこんな記事も見てます。
-
山縣選手 コーナーSD解説
2013年関東インカレ200m決勝前の、山縣選手のコーナ...
2015年04月19日
-
【驚異のピッチ】オリンピアン土井杏南選手が行う高速ステップトレーニング
土井杏南選手は女子100mの高校記録保持者で、高校2年時...
2017年02月08日
-
世界陸上直前!パウエルの練習
8月22日(土)に北京世界陸上が開幕するにあたって、ジャ...
2015年08月21日
-
【土江コーチ流】スタートで重要な重心移動を身に着けよう!
選手としてはオリンピックに2度出場し、現在日本を代表する...
2017年01月24日
-
ボルト プールトレーニング
ウサインボルト選手のプールトレーニングの様子です!! ...
2015年03月20日
-
【短距離選手向け】下り坂のトレーニングのポイントと効果
今回は下り坂の走行の仕方と効果について紹介します! ...
2016年10月24日
-
ガトリンのベンチプレス
現在、北京で行われている世界陸上、男子100m予選をご覧...
2015年08月24日
-
ラップのダイナミックストレッチ
-
【名門コニカミノルタ式】骨盤歩きで腹筋・股関節の強化
-
感動の銀メダルを獲得!“ケンブリッジ飛鳥”選手の走り!
-
心拍数を管理しよう!
-
素早いランジをしてみよう!ランジトレーニング
-
【中・長距離の選手へ…】スタンディングスタートの構え方
-
強豪校のコアトレーニング
-
フライングをしないフォームを習得しよう【クラウチングスタート】
-
短距離選手は参考に!アリソンのサーキット
-
地面の反発を得よう!フレキハードルミニジャンプ
-
跳躍選手に筋力トレーニング「クリーン」が必要な訳
-
冬季練習に!スケボーでしなやかな動きを獲得する
-
スナッチ 115kg
-
日本最速!?桐生祥秀のスピードバウンディング!
-
専門外でもこの高記録!クリスチャン・テイラーの走り幅跳び
-
ジャンプで身体を鍛えよう!メディシンボールプライオメトリックス
Category New/カテゴリー新着情報
- 【たった3分で追い込める!】最強腹筋トレーニングメニュー「全方向から鍛えられる計6種類の腹筋サーキット...詳細【1日3分】室内でできる全身トレーニング(中級編)アスリートが考えた3分『全身トレーニング』 ...詳細【練習メニュー】下り坂でスピードトレーニング(4種)自主練や部活で使えるシリーズ第三弾『下り坂』の...詳細【練習メニュー】上り坂でスピードトレーニング(6種)自主練や部活で使えるシリーズ第二弾『上り坂』の...詳細陸上競技
- 【練習メニュー】下り坂でスピードトレーニング(4種)自主練や部活で使えるシリーズ第三弾『下り坂』の...詳細【練習メニュー】上り坂でスピードトレーニング(6種)自主練や部活で使えるシリーズ第二弾『上り坂』の...詳細【恐怖を超えた究極のスタート】コールマンから学ぶスタートの極意クリスチャン・コールマン(Christian ...詳細【長距離ランナー必見!】ランナーにオススメのトレーニング集オレゴンプロジェクト所属のゲーレン・ラップ選手...詳細ケガ・ストレッチ
- 下向肘上げ 改善エクササイズ【フィジカルチェック用】「フィジカルチェック項目:下向肘上げ」の点数が...詳細下向胸上げ 改善エクササイズ②【ケガ予防フィジカルチェック用】「フィジカルチェック項目:下向胸上げ」の点数が...詳細下向胸上げ 改善エクササイズ①【フィジカルチェック用】「フィジカルチェック項目:下向胸上げ」の点数が...詳細【梅雨の季節の体調管理】アスリートに必要な知識蒸し暑く過ごしづらい季節がやってきました。そう...詳細サッカー
- エムバぺ(フランス代表)はなぜあんなに速いのか!?[陸上コーチによる解説]先日4年に1度のワールドカップが行われ、日本代...詳細【W杯でも活躍!】サッカーイングランド代表が行なった〇〇を使ったトレーニング2018年ワールドカップ盛り上がりましたね! ...詳細【W杯でも大活躍】レアル・マドリードのトレーニング欧州チャンピオンズリーグ3連覇、今回のW杯でも...詳細【世界トップの瞬発力!】メッシ選手のアジリティトレーニング【間も無くW杯開幕!】5度のバロンドール受賞、5回のチャンピオンズリ...詳細栄養・食事
- 【瞬発的エネルギー!】クレアチン摂取タイミングのポイントと注意点クレアチンはアミノ酸の一種で、筋肉内のエネルギ...詳細【骨強化に】身長を伸ばす為に必要な栄養素【Jr世代は特に大切!】色々な競技の上で、身長が高いということが有利に...詳細【金メダリストの朝ご飯にも!?】正月によく食べるお餅の栄養&効能お正月はおせち料理やお雑煮など、お餅を食す機会...詳細【身体の調子を整える】サプリメントアプローチ「ZMA」普段の食事から摂取するのが難しい栄養素がある場...詳細野球