【短距離スピードの向上に】バウンディングドリルの目的とポイント
- Tweet Follow @Sports_Crowd_
投稿者:荒川優元100m選手:スプリントコーチ
【短距離スピードの向上に】バウンディングドリルの目的とポイント
陸上競技をやっている方であれば、「バウンディング」について一度は聞いたことがあると思います。
この頃はラグビーなど多種目でも行われている風景を見ることが多くなりました。
ただ、この「バウンディング」については、あまりネットなどでも目的や方法がまとまっておらず、いろいろな論があります。
もちろんどれが正解ということはなく、それぞれの速くなるための目的にフィットさせられれば意義があると思います。
今回は、私が選手としてもしくは指導者として使っているバウンディングの目的とポイントについてまとめてみます。
走りの中では、唯一スピードの変化が起こるのは、足が地面に着いている接地中のみです。
両足が空中にあるときに、どれだけ頑張ってもスピードが速くなることはありません。
そのため、「接地をいかにうまく行い、スピードを高めるか」が最も大事な要素ともいえます。
ただし走りながら接地を意識したり改善することは簡単ではありません。
そんな中で、バウンディングは“走りに近い状態で接地を強調できる有効なトレーニング”なのです。
【イメージ】
動画では2本走った後でバウンディングを行っています。
このように助走をつけてから、ポンポンポンと一歩一歩を強調した動きになります。
【ポイント】
私は次のポイントに意識を置いています。
①スピードを落とさないこと
接地でブレーキをかけるような足の着き方をしてしまうと、どんどんスピードが落ちてしまいます。スピードを維持、もしくはさらに加速していくイメージを持ちましょう。
そのためには次のことをチェックしてみましょう。
‐フラットに接地する
⇒つま先から接地するとブレーキがかかりやすいです。
‐腕の振り込むタイミングを合わせる
⇒脚だけの動きになるとブレーキがかかります。接地に合わせて腕を振り込みましょう。
‐接地でのぶれをなくす
⇒接地の瞬間に足首やお腹の力が抜けていると、大きな力を制御できず無意識にブレーキをかけてしまいます。できれば接地の瞬間に力を入れる(体幹や各関節を固める)と高いスピードでも対応できます。
②股関節から大きな動きを引き出す
動画で分かるように腰の上下動はあまり起こっていません。股関節からしっかり動かすことで、このように上ではなく前への力に変えることができます。
そのためには次のことをチェックしてみましょう。
‐空中でももや膝の力を抜く
⇒力を空中で抜く瞬間を作らないと、股関節の動きが小さくなってしまいます。
‐股関節から脚を動かす
⇒膝から脚を上げたり下げたりすると腰が遅れやすくブレーキやそこからくる上下動につながってしまいます。
‐肩の力を入れすぎない
⇒よく肩に過度に力が入って、肩が上がったまま行う人がいますが、これも上下動の原因になります。手もうまくリズムを刻みながら振るように心がけましょう。
このようなポイントで普段の走りよりも強調して接地を練習することで、実際の走りでもより大きな推進力を得られるようになります。
もちろんこれ以外にもさまざまなバウンディングの方法があると思うので、今一度その目的やポイントを考えてみてください。
よければこの方法でも一度やってみてくださいね!
この動画は「AirpLaneRussell」様の作品です。
***********************************************
筆者:
荒川優(あらかわゆう)
☆スプリントコーチ(100m:10秒5)
➣2010ニュージーランド・オタゴオープン 準優勝
筑波大学出身。ランニングコネクション代表。スプリントコーチとして大学や子供たちの指導、メディアなどで活動。
オリンピック選手や格闘技世界チャンピオン、Jリーガーなど、種目を超えてトップ選手のコーチも担っている。
出演:NHK「テレビスポーツ教室」など多数。
***********************************************
投稿者:荒川優元100m選手:スプリントコーチ
- Tweet Follow @Sports_Crowd_
【新着】関連記事
この記事を見た人はこんな記事も見てます。
-
メディシンでもも上げトレ
メディシンボールを使ってのもも上げトレーニングです! ...
2015年07月23日
-
強豪校のハードルトレーニング
高校陸上界の強豪校、埼玉栄高校が行っているハードルを用い...
2015年10月27日
-
土井杏奈の高速ピッチ
土井杏奈選手は女子100mの高校記録保持者で、高校2年時...
2015年07月31日
-
体を思った通りに動かそう!ラダー開閉ジャンプ
ウォーミングアップなどに利用されるラダーの中で、開閉ジャ...
2016年04月15日
-
男子三段跳世界記録から学ぶ
世界陸上も近づいてきました。今回は、世界記録更新が期待さ...
2015年07月28日
-
ハードル振り下ろしドリル
ハードルを使ったハードルのクリアランスの練習です。 リ...
2015年05月06日
-
アリソンのトレーニング②
アリソン・フェリックス選手のトレーニング第2弾! ...
2015年10月26日
-
坂ダッシュをしてみよう!たくさんのコツがつかめる練習!
-
桐生のウエイトトレーニング①
-
強豪チーム「富士通」も実践!ダイナマックスでサイドランジウォーク
-
世界的スプリンター、ガトリンのベンチプレス
-
池田久美子vs花岡麻帆!走幅跳の歴史的名勝負3連発!
-
ラップのダイナミックストレッチ
-
元世界記録保持者のハードルドリルから学べ!パウエル選手のハードルドリル
-
【洛南高校のスピードトレーニング】鉛直方向へのバウンディングと意識したいこと
-
オリンピックシーズン開幕!テイラーも上々の仕上がり!
-
【スタート時の爆発力を養う】メディシンボールを使った「スタートイメージトレーニング」
-
【接地の技術でスピードを高めよう!】スプリントコーチがおススメする6種のスプリントドリル
-
山縣選手 コーナーSD解説
-
世界No.1の共演!世界トップのスタートダッシュスロー映像
-
【つま先を前に向ける意識は逆効果かも…】トップ選手から学ぶ、"内転筋"を使った効率的走り方!
-
日本歴代6位から技術を盗め!走高跳ドリル
-
走りに直結!?コントロールテスト〜立ち幅跳び〜
Category New/カテゴリー新着情報
- 【たった3分で追い込める!】最強腹筋トレーニングメニュー「全方向から鍛えられる計6種類の腹筋サーキット...詳細【1日3分】室内でできる全身トレーニング(中級編)アスリートが考えた3分『全身トレーニング』 ...詳細【練習メニュー】下り坂でスピードトレーニング(4種)自主練や部活で使えるシリーズ第三弾『下り坂』の...詳細【練習メニュー】上り坂でスピードトレーニング(6種)自主練や部活で使えるシリーズ第二弾『上り坂』の...詳細陸上競技
- 【練習メニュー】下り坂でスピードトレーニング(4種)自主練や部活で使えるシリーズ第三弾『下り坂』の...詳細【練習メニュー】上り坂でスピードトレーニング(6種)自主練や部活で使えるシリーズ第二弾『上り坂』の...詳細【恐怖を超えた究極のスタート】コールマンから学ぶスタートの極意クリスチャン・コールマン(Christian ...詳細【長距離ランナー必見!】ランナーにオススメのトレーニング集オレゴンプロジェクト所属のゲーレン・ラップ選手...詳細ケガ・ストレッチ
- 下向肘上げ 改善エクササイズ【フィジカルチェック用】「フィジカルチェック項目:下向肘上げ」の点数が...詳細下向胸上げ 改善エクササイズ②【ケガ予防フィジカルチェック用】「フィジカルチェック項目:下向胸上げ」の点数が...詳細下向胸上げ 改善エクササイズ①【フィジカルチェック用】「フィジカルチェック項目:下向胸上げ」の点数が...詳細【梅雨の季節の体調管理】アスリートに必要な知識蒸し暑く過ごしづらい季節がやってきました。そう...詳細サッカー
- エムバぺ(フランス代表)はなぜあんなに速いのか!?[陸上コーチによる解説]先日4年に1度のワールドカップが行われ、日本代...詳細【W杯でも活躍!】サッカーイングランド代表が行なった〇〇を使ったトレーニング2018年ワールドカップ盛り上がりましたね! ...詳細【W杯でも大活躍】レアル・マドリードのトレーニング欧州チャンピオンズリーグ3連覇、今回のW杯でも...詳細【世界トップの瞬発力!】メッシ選手のアジリティトレーニング【間も無くW杯開幕!】5度のバロンドール受賞、5回のチャンピオンズリ...詳細栄養・食事
- 【瞬発的エネルギー!】クレアチン摂取タイミングのポイントと注意点クレアチンはアミノ酸の一種で、筋肉内のエネルギ...詳細【骨強化に】身長を伸ばす為に必要な栄養素【Jr世代は特に大切!】色々な競技の上で、身長が高いということが有利に...詳細【金メダリストの朝ご飯にも!?】正月によく食べるお餅の栄養&効能お正月はおせち料理やお雑煮など、お餅を食す機会...詳細【身体の調子を整える】サプリメントアプローチ「ZMA」普段の食事から摂取するのが難しい栄養素がある場...詳細野球